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愛知県

東之宮古墳とはどんな古墳か|誰の墓か・場所

東之宮古墳  / ヒガシノミヤコフン

前方後方墳 3世紀4世紀

鏡11面が出た、愛知県で最古級とされる山頂の前方後方墳。

東之宮古墳とはどんな古墳か

東之宮古墳はひとことで言えば鏡が11面出た山頂の古墳です。愛知県犬山市にあり、犬山市は標高143メートルの白山平山の山頂にある全長約72メートルの愛知県下で最古級の前方後方墳としています。

1973年(昭和48年)の盗掘をきっかけに調査が行われ、後方部から竪穴式石槨が現れました。文化庁は、割石小口積の石室で長さ4.8メートル・幅96センチ、副葬品は三角縁神獣鏡をはじめとする鏡11面、玉類、碧玉製品、多量の鉄製品と記しています。

犬山市はこれを「畿内の大型古墳にも見劣りしないもので、東日本の前期古墳の中でも飛びぬけています」と評価しています。山の上の72メートルの古墳から、畿内級の品がまとめて出ました。古墳の前方には東之宮社が鎮座しています。

東之宮古墳の読み方と別名

読みは「ひがしのみやこふん」です。文化庁の国指定文化財等データベースも、この読みで登録しています。

名の由来は、古墳の前方に鎮座する東之宮社です。社の名がそのまま古墳の名になりました。高尾山古墳(静岡県沼津市)も、後方部にあった高尾山穂見神社から名が付いています。墳丘の上や前に社が立つのは、めずらしいことではありません。

重要文化財としての名は「尾張東之宮古墳出土品」で、旧国名の尾張が冠されています。

東之宮古墳(ひがしのみやこふん)

犬山市と文化庁が用いる名。国の史跡としての指定名称でもある。

尾張東之宮古墳出土品(おわりひがしのみやこふんしゅつどひん)

国の重要文化財としての名。京都国立博物館が保管している。

東之宮社(ひがしのみやしゃ)

古墳の前方に鎮座する社。名の由来にあたる。

東之宮古墳は誰の墓か

東之宮古墳の被葬者はわかっていません。犬山市も文化庁も、人物を特定する記載はしていません。宮内庁の治定もありません。

手がかりは副葬品の格です。犬山市はこう書いています。

これらは同じ時期の中心地域の畿内の大型古墳にも見劣りしないもので、東日本の前期古墳の中でも飛びぬけています

文化庁も「濃尾平野周辺部の代表的な前期古墳とされているものであり、その学術的価値は高い」としています。

鏡11面、玉類、碧玉製品、多量の鉄製品。これだけの品を集められる人物が3世紀後半から4世紀初頭の尾張にいた、というところまでが公式に言えることです。三角縁神獣鏡を持つ点は、黒塚古墳(奈良県天理市)や志段味古墳群(名古屋市)とつながる話です。

公式の説明:わかっていない

人物を比定する記載はない。副葬品への評価を述べるにとどまる。

公式の説明:わかっていない

濃尾平野周辺部の代表的な前期古墳とするにとどまる。

東之宮古墳の大きさと形

犬山市は全長72メートルとし、前方部長24メートル・前方部幅43メートル・前方部高7メートル、後方部長48メートル・後方部幅49メートル・後方部高9メートルとしています。文化庁の史跡の解説は長さ約72メートルで一致しますが、重要文化財の解説では全長七三メートルとされ、わずかに差があります。

前方部は北西を向いています。後方部が48メートル四方あるのに対し前方部は24メートルしかなく、四角い土台に短い突出部が付いた形です。

犬山市は、白山平山が木曽川でみられるチャートでできた岩山であるとし、この岩山を平らに削って平地をつくり、そのうえに盛土でつくりあげられている、としています。

全長:72メートル(史跡の解説)/七三メートル(重要文化財の解説)

後方部:長さ48メートル・幅49メートル・高さ9メートル

前方部:長さ24メートル・幅43メートル・高さ7メートル

竪穴式石室:長さ4.8メートル・幅96センチ(割石小口積)

白山平山の標高:143メートル

国の史跡の指定:1975年7月19日(2010年2月22日に追加指定)

東之宮古墳はいつ作られたか

犬山市は、この古墳が造られた年代を3世紀後半から4世紀初頭とし、愛知県下で最古級の前方後方墳としています。

3世紀後半といえば、奈良では箸墓古墳が築かれ、静岡県沼津市では高尾山古墳が営まれた時期です。古墳時代の始まりに、尾張の山の上にも同じ動きがありました。

愛知県内では、東之宮古墳のあと4世紀中頃に同じ犬山市の青塚古墳(全長約123メートル)が築かれます。名古屋市の志段味古墳群にも、この時期からの古墳が並びます。東之宮古墳は前方後方墳、青塚古墳は前方後円墳で、形が入れかわっている点も見どころです。

東之宮古墳の場所と行き方(観光情報)

出土品は京都国立博物館(京都市東山区茶屋町527)が保管しています。現地で見られるのは、令和3年3月に整備が完了した墳丘です。

犬山市は調査の報告書も販売しており、史跡東之宮古墳が8,500円、範囲確認調査報告書と調査報告書がそれぞれ1,500円です。同じ犬山市の青塚古墳史跡公園と合わせて回ると、尾張の前期古墳の移り変わりが見えます。

史跡 東之宮古墳

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史跡 東之宮古墳の住所:犬山市犬山(文化庁の所在地欄)

交通:名鉄「犬山遊園駅」より徒歩15分、名鉄「犬山駅」より徒歩25分

駐車場:成田山側入口付近に2台

料金:公式に確認できませんでした

内部見学:史跡整備が令和3年3月に完了し、墳丘を見学できる

犬山市は行き方を名鉄「犬山遊園駅」より徒歩15分、名鉄「犬山駅」より徒歩25分としています。駐車場は成田山側入口付近に2台で、犬山市は「駐車場が少ないため、できるだけ公共交通機関をご利用ください」と呼びかけています。

山頂の古墳です。犬山市は、ごみは必ず持ち帰ること、古墳周辺は飛騨木曽川国定公園なので植物の持ち込みや持ち出しは控えること、たばこや火気は山火事の恐れがあるので使用しないことを求めています。

東之宮古墳の発見と調査の歩み

  1. 盗掘が、調査の始まりだった
  2. 岩山を削って、土を運び上げる
  3. 鏡十一面は、いま京都にある

盗掘が、調査の始まりだった

東之宮古墳が調べられたきっかけは、犯罪でした。

犬山市は「昭和48年(西暦1973年)の盗掘を契機に発掘調査が行われ、竪穴式石槨や豊富な副葬品が出土しています」と記しています。

盗掘の被害状況を確かめるために掘ったところ、鏡11面をはじめとする副葬品が出てきました。文化庁は、割石小口積の竪穴式石室が長さ4.8メートル、幅96センチであることを明らかにしたと記しています。

主体部は後方部墳頂に2か所、前方部に1か所の計3か所あるとされます。発掘されたのは後方部の1か所だけで、残る2か所は掘られていません。

岩山を削って、土を運び上げる

犬山市の説明で印象的なのは、この古墳の造り方です。

東之宮古墳つくられた白山平山は木曽川でみられるチャートでできた岩山です。東之宮古墳はこの岩山を平らに削り、平地をつくり、そのうえに盛土でつくりあげられています。古墳を構築する土は山のふもとから運ばれたと考えられます。

チャートは、たいへん硬い岩石です。それを削って平地にし、そのうえにふもとから運んだ土を積む。標高143メートルの山頂での作業です。

平地に築くより、はるかに手間がかかります。高尾山古墳(静岡県沼津市)も尾根を削ってから土を積んでおり、前期の古墳には土地を作り変える発想が共通しています。造られた当時は葺石で覆われていたことも調査で判明しました。

鏡十一面は、いま京都にある

東之宮古墳の出土品は、現地にはありません。

文化庁は、この一括を「尾張東之宮古墳出土品」として1978年(昭和53年)6月15日に重要文化財に指定し、京都国立博物館が保管していると記しています。解説はこうです。

この古墳は、犬山市街地の北東丘陵上に位置する、全長七三メートルの前方後方墳である。出土品は、三角縁神獣鏡など十一面の鏡鑑類、碧玉製品、刀剣類など一括で、古墳時代前期の様相をよく伝えた優品である。

十一面の鏡。三角縁神獣鏡がまとまって出た黒塚古墳(奈良県天理市)には及びませんが、東日本の前期古墳では飛びぬけた数です。

鏡は京都、古墳は犬山。二つに分かれたまま、それぞれが守られています。

東之宮古墳から出土したもの

出土品は1978年(昭和53年)6月15日に国の重要文化財となり、京都国立博物館が保管しています。主体部3か所のうち、掘られたのは1か所だけです。

三角縁神獣鏡

縁の断面が三角形の鏡。文化庁は鏡11面の筆頭に挙げている。

鏡(11面一括)

三角縁神獣鏡を含む11面。重要文化財として京都国立博物館が保管。

碧玉製品

緑がかった石で作った製品。腕飾りなどが含まれる。

玉類

竪穴式石槨から出土した玉。

鉄製品

刀剣類を含む多量の鉄製品。文化庁は「豊富な内容をもっている」と記す。

東之宮古墳と関連する古墳

東之宮古墳についてよくある質問

東之宮古墳は誰の墓ですか。

わかっていません。犬山市も文化庁も人物を特定していません。副葬品は畿内の大型古墳にも見劣りしないとされ、濃尾平野周辺部の代表的な前期古墳とされています。

東之宮古墳の大きさはどれくらいですか。

犬山市は全長72メートルとし、後方部は長さ48メートル・幅49メートル・高さ9メートル、前方部は長さ24メートル・幅43メートルとしています。

東之宮古墳はいつ作られましたか。

犬山市は3世紀後半から4世紀初頭とし、愛知県下で最古級の前方後方墳としています。

東之宮古墳はどこにありますか。

愛知県犬山市の白山平山(標高143メートル)の山頂です。名鉄「犬山遊園駅」より徒歩15分、名鉄「犬山駅」より徒歩25分です。

出土した鏡はどこにありますか。

京都国立博物館(京都市東山区茶屋町527)が保管しています。1978年6月15日に「尾張東之宮古墳出土品」として国の重要文化財に指定されました。

東之宮古墳と併せて覚えたい言葉・用語

前方後方墳(ぜんぽうこうほうふん)

四角い墳丘に方形の突出部が付く古墳。東海地方に多く分布する。

割石小口積(わりいしこぐちづみ)

割った石の短い面を手前にして積む工法。竪穴式石室の壁に使う。

チャート(ちゃーと)

珪酸質のきわめて硬い堆積岩。木曽川の河原に多い。

碧玉(へきぎょく)

緑や赤みを帯びた硬い石。管玉や腕飾りの材料として珍重された。

東之宮古墳の参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 犬山市
  2. 文化庁