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兵庫県

茶すり山古墳とはどんな古墳か|誰の墓か・場所

茶すり山古墳  / チャスリヤマコフン

円墳 5世紀

長径約90メートル、短径約78メートル。但馬の交通の要衝に築かれた大型円墳。

茶すり山古墳とはどんな古墳か

茶すり山古墳は、兵庫県朝来市和田山町筒江にある5世紀前半の大型円墳です。和田山盆地を望み、播磨と但馬を結ぶ交通の要衝にあたる細い尾根の先端に築かれました。

文化庁の記録では、墳丘は長径約90メートル、短径約78メートル、高さ約18メートルの二段築成です。朝来市のページは直径約90メートルと案内しています。

墳頂には東西約36メートル、南北約30メートルの楕円形の広い平坦面があり、そのやや内側に円筒埴輪と朝顔形埴輪が巡っていました。斜面には葺石が見られますが、多くは流出しています。

墳頂部には、未盗掘の木棺直葬の埋葬施設が二つ並んでいました。 大型の第1主体部と、その北側に置かれた第2主体部です。多量の武器・武具・玉類などが残り、主要出土品664点は重要文化財に指定されています。

茶すり山古墳の読み方と別名

読みは「ちゃすりやまこふん」です。朝来市の表記は「茶すり山古墳」で、「すり」の部分がひらがなになります。

名の似た古墳が近畿にいくつもあります。岡山市の中山茶臼山古墳、大阪府の池田茶臼山古墳、奈良県桜井市の桜井茶臼山古墳どれも「ちゃうすやま」で、「ちゃすりやま」はこの古墳だけです。

古墳の名を調べるときは、ひらがなの「茶すり山」でそのまま入れるのが確実です。漢字に直すと別の古墳が出てきます。

茶すり山古墳(ちゃすりやまこふん)

朝来市と文化庁が用いる表記。「すり」はひらがなで書く。

筒江(つつえ)

所在地の地名。朝来市は住所を兵庫県朝来市和田山町筒江793-1としている。

宝珠峠(ほうしゅとうげ)

和田山から山東へ抜ける峠。この古墳は峠の途中の尾根の先端に築かれている。

茶すり山古墳は誰の墓か

茶すり山古墳の被葬者の個人名はわかっていません。宮内庁が皇族の墓として治定した陵墓でもありません。

ただし、墓に納められた品から人物像は絞れます。第1主体部では甲冑二組、刀剣類、鉄鏃など多量の武器・武具が見つかり、文化庁は被葬者の「武人的性格」が強く示されると説明しています。

畿内以外では初例となった三角板革綴襟付短甲や、畿内を中心に分布する鉄柄付手斧も含まれます。氏名は不明でも、但馬を基盤とし、畿内政権と密接に結びついた有力首長だったことは出土品から読み取れます。

二つの埋葬施設には別々の人物が葬られたと考えられますが、両者の関係は分かっていません。

公式の説明:中央政権と強く結びついた首長

調査によって確認されたとするが、個人の名は示していない。

断定できない:わかっていない

墳頂に二つの埋葬施設が並ぶが、葬られた人物の関係も明らかにされていない。

茶すり山古墳の大きさと形

文化庁は、墳丘を長径約90メートル、短径約78メートル、高さ約18メートルの二段築成と記録しています。

墳頂の平坦面は、朝来市の案内では東西約36メートル、南北約30メートルの楕円形です。そのやや内側に円筒埴輪と朝顔形埴輪が巡っていました。

朝来市のページには富雄丸山古墳より大きいという古い説明が残りますが、その後の調査で富雄丸山古墳は直径約109メートルとされました。この記事では現在の測量成果を踏まえ、「近畿最大」と断定せず大型円墳と表記します。

墳丘の直径:約90メートル

墳丘の高さ:約18メートル

築かれた尾根の標高:約144メートル

墳頂の平坦面(東西):約36メートル

墳頂の平坦面(南北):約30メートル

茶すり山古墳はいつ作られたか

朝来市は、この古墳を「5世紀前葉の大型円墳です」としています。

5世紀の前半は、大阪平野で巨大な前方後円墳が次々に築かれた時期にあたります。堺市の大仙陵古墳、羽曳野市の誉田御廟山古墳が並び立つころです。

その同じ時期に、但馬の山あいでは前方後円墳ではなく、円墳が選ばれました。奈良県の富雄丸山古墳も円墳です。近畿で最大級の円墳が二つとも、巨大前方後円墳の時代と重なって築かれている点は、目を引きます。

茶すり山古墳の場所と行き方(観光情報)

古墳は和田山盆地と山東盆地のあいだ、宝珠峠の途中にあります。墳丘からは西の和田山盆地を見渡せます。

尾根の先端に築かれていますが、入口には学習館と無料駐車場があります。学習館の映像・パネルで発掘内容を先に確認してから墳丘を見ると、二つの埋葬施設と大量の武器・武具の位置関係を理解しやすくなります。

茶すり山古墳

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茶すり山古墳の住所:兵庫県朝来市和田山町筒江793-1

交通:和田山IC・山東ICから車で約5分。JR梁瀬駅からタクシーで約10分

駐車場:無料駐車場5台

料金:古墳・学習館とも無料

内部見学:古墳は常時公開。学習館は9:00〜17:00

朝来市が示す住所は「兵庫県朝来市和田山町筒江793-1」です。国道312号の加都北交差点から県道136号を東へ進み、北近畿豊岡自動車道の下をくぐる付近が入口です。

古墳は常時公開ですが、併設の茶すり山古墳学習館には休館日があります。月曜日(祝日は除く)、祝日の翌日、12月28日から1月4日は休館と案内されています。最新状況は朝来市文化財課(079-670-7330)で確認してください。

茶すり山古墳の発見と調査の歩み

  1. 道路計画を変えて残された大型円墳
  2. 墳頂に二つ並んだ埋葬施設
  3. 664点の重要文化財が示す武人的性格

道路計画を変えて残された大型円墳

5世紀前半、但馬の交通の要衝に、長径約90メートルの円墳が築かれました。大部分を尾根から削り出し、一部に葺石を施した二段築成です。

2001年度、北近畿豊岡自動車道の建設予定地で発掘され、規模と内容の重要性が判明しました。文化庁の史跡解説は、その後に道路計画を変更して現状保存した経緯を記しています。

発掘の成果が道路の線形を変え、墳丘そのものが残った。茶すり山古墳は、遺跡の価値が現代の公共事業に反映された保存事例でもあります。

墳頂に二つ並んだ埋葬施設

墳頂の平坦面には二つの墓坑が並びます。第1主体部は東西13.7メートル・南北10.5メートルの墓坑に長さ8.7メートルの組合式箱形木棺、第2主体部は東西7.5メートル・南北3.7メートルの墓坑に長さ4.8メートルの木棺痕跡が確認されました。

どちらも盗掘を免れ、副葬品が位置関係を保って残りました。大小の差から二人の身分関係まで断定せず、棺・武器・武具・玉類が一緒に残ったこと自体を重要な情報として読みます。

664点の重要文化財が示す武人的性格

二つの埋葬施設から出た主要資料664点は、2013年に重要文化財へ指定されました。

第1主体部からは甲冑二組、刀剣類、鉄鏃など多量の武器・武具が出土しました。三角板革綴襟付短甲は畿内以外で初めて確認された型で、鉄柄付手斧も畿内との結びつきを示す資料です。

さらに青銅鏡、約2000点の玉類、農工具、竪櫛、家形埴輪、翳形埴輪などが加わります。「誰の墓か」を氏名で答えられなくても、武人的性格と畿内政権との関係は、出土品の組み合わせから具体的に説明できます。

茶すり山古墳から出土したもの

文化庁は、主要出土品664点を重要文化財として登録しています。内訳は、第1主体部の金属製品500点・玉41点・漆製品残欠17点、第2主体部の金属製品72点・玉20点・竪櫛2点、墳丘出土の埴輪12点です。

現地の学習館では映像とパネルで古墳を解説し、出土品は近くの朝来市埋蔵文化財センター「古代あさご館」と合わせて学べます。

甲冑二組と大量の武器

第1主体部から短甲・冑、刀剣、鉄矛、鉄鏃などが出土。被葬者の武人的性格を示す。

青銅鏡と約2000点の玉類

二つの主体部を合わせ、青銅鏡4点と勾玉・管玉など約2000点が確認された。

農工具類

刀子・斧・鎌など80点余り。畿内を中心に分布する鉄柄付手斧も含む。

家形・翳形を含む埴輪

円筒・朝顔形のほか、大型家形埴輪や線刻文様の翳形埴輪が出土した。

茶すり山古墳と関連する古墳

茶すり山古墳についてよくある質問

茶すり山古墳は誰の墓ですか。

わかっていません。宮内庁の治定もありません。朝来市は、中央政権(ヤマト政権)と強く結びついた首長の墓であることが確認されている、としていますが、個人の名は示していません。

茶すり山古墳の大きさはどれくらいですか。

朝来市は直径約90メートル、高さ約18メートル、二段築成としています。墳頂の平坦面は東西約36メートル、南北約30メートルの楕円形です。

茶すり山古墳はどこにありますか。

兵庫県朝来市和田山町筒江793-1です。和田山から山東へ抜ける宝珠峠の途中、標高約144メートルの尾根の先端にあります。

茶すり山古墳はいつ作られましたか。

朝来市は5世紀前葉としています。大阪平野で巨大な前方後円墳が築かれていたのと同じころにあたります。

茶すり山古墳と富雄丸山古墳はどちらが大きいですか。

文化庁は茶すり山古墳を長径約90メートル・短径約78メートルと記録しています。富雄丸山古墳の調査で規模認識が更新されているため、この記事では茶すり山古墳を「近畿最大」と単純に断定せず、大型円墳として扱います。

茶すり山古墳と併せて覚えたい言葉・用語

円墳(えんぷん)

上から見て丸い形の古墳。前方後円墳と並んで、古墳時代を通じて築かれた。

朝顔形埴輪(あさがおがたはにわ)

口が朝顔のように開いた埴輪。円筒埴輪の列に混ぜて立てられる。

主体部(しゅたいぶ)

棺を納めた埋葬施設のこと。この古墳では第1と第2の二つが並ぶ。

二段築成(にだんちくせい)

墳丘を二段に積み上げて造ること。段のあいだに平らな面ができる。

茶すり山古墳の参考資料

この記事は、以下の公的・学術資料をもとに構成しています。

  1. 朝来市教育委員会「近畿最大級の円墳 茶すり山古墳」
  2. 文化庁 文化遺産オンライン「茶すり山古墳」
  3. 文化庁 文化遺産オンライン「兵庫県茶すり山古墳出土品」
  4. 兵庫県立歴史博物館「朝来の神仏と文化財をめぐる」